メタボリックシンドロームとは
糖尿病などの生活習慣病は、それぞれの病気が別々に進行するのではなく、お腹のまわりの内臓に脂肪が蓄積した内臓脂肪型肥満が大きく関わるものであることがわかってきました。
内臓脂肪型肥満に加えて、高血糖、高血圧、脂質異常のうち、いずれか2つ以上をあわせもった状態を、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)といいます。
内臓脂肪が過剰に溜まっていると、糖尿病や高血圧症、高脂血症といった生活習慣病を併発しやすくなってしまうのです。しかも、「血糖値がちょっと高め」「血圧がちょっと高め」といった、まだ病気とは診断されない予備群でも、併発することで、動脈硬化が急速に進行します。
日本人の場合、予備軍も含めると、女性なら5人に1人、男性だと2人に1人がメタボリックシンドロームと言われています。
メタボリックシンドロームの診断基準
内臓脂肪の蓄積
腹囲(へそ周り): 男性 85cm以上、女性 90cm以上
(男女ともに、腹部CT検査の内臓脂肪面積が100cm2以上に相当)
※ 内臓脂肪の蓄積をチェックします。肥満の判定によく用いられるBMI(体格指数)ではなく、腹囲で判定します。
腹囲の正しい測り方
腹囲はズボンやスカートなどのウエストの位置ではなく、おへその高さで、衣服を着けない状態で測りましょう。
高血圧
最高(収縮期)血圧 130mmHg以上
最低(拡張期)血圧 85mmHg以上
※ 高血圧症と診断される「最高(収縮期)血圧140mmHg以上/最低(拡張期)血圧90mmHg以上」より低めの数値がメタボリックシンドロームの診断基準となっています。
高血糖
空腹時血糖値 110mg/dL以上
※ 糖尿病と診断される「空腹時血糖値126mg/dL以上」より低めの数値で、「境界型」に分類される糖尿病の一歩手前がメタボリックシンドロームの診断基準となっています。
脂質異常
中性脂肪 150mg/dL以上
HDLコレステロール 40mg/dL未満
のいずれかまたは両方
※ メタボリックシンドロームでは、過剰な中性脂肪の増加とHDLコレステロールの減少が問題となります。
内臓脂肪型肥満の原因
- 不適切な食生活 高脂肪食・高カロリー食 野菜摂取量の減少(昭和21年 357g摂取 → 平成17年 279.8g摂取)
- 運動不足
メタボリックシンドロームの予防と改善
1に運動 2に食事 しっかり禁煙 最後にお薬
内臓脂肪は皮下脂肪と比べて、たまりやすく減りやすいという特徴があります。 内臓脂肪は、ためる原因となっている食べ過ぎや運動不足などの不健康な生活習慣を改善することで減らせます。
内臓脂肪を減らすこと。運動習慣をもち、食生活を改善し、禁煙を始めましょう。 すでに治療が必要になってしまった方は、医師の指導により、薬が必要となることもあります。
生活習慣を見直すことでメタボリックシンドロームを改善
運動習慣を徹底しましょう
内臓脂肪を減らすためには、日頃から体を動かす習慣を身につけておくことが大切です。
食生活を改善しましょう
食べ過ぎや欠食などの乱れた食生活は、内臓脂肪をためる原因になるため、食生活の改善は欠かせません。バランスのとれた適切な量の食事を心掛けるとともに、食事をする時間や食べ方などにも注意し、1日3食規則正しく食べましょう。
禁煙を実行してみましょう
タバコは、多くの有害物質を含み、健康にさまざまな悪影響をおよぼします。 喫煙は、がんにかかりやすくするだけでなく、動脈硬化を進行させ、脳卒中や虚血性心疾患のリスクも高めます。
お薬によるコントロールを適切にしましょう
糖尿病や高血圧症、高脂血症になっている場合には、生活習慣の改善に加えて、薬によるコントロールが必要なこともあります。治療で必要な薬は医師と相談の上で適切に使用しましょう。 「薬を飲めば安心」ではなく、生活習慣の改善をあわせて行うことが大切です。